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おもてなしの経営学 アップルがソニーを超えた理由

  • 2008-07-13 (Sun)
  • Book

ユーザーとしてはそれほど興味がないのですが、iPhone 上陸をきっかけに読んでみました。

おもてなしの経営学 アップルがソニーを超えた理由 (アスキー新書 55)

本書は、3 分の 2 がコラム(と対談)の再録、残りはブログをつぎはぎ(失礼)した内容なので、著者のコラムやブログの読者の方(私は違う)には物足りなかったのではないでしょうか。
特にブログのつぎはぎ(失礼)具合は、書籍として残念な雰囲気をかもし出しています。
何と言うか、

ブロガーが本を書くときに、気をつけたいこと。 (NED-WLT)

こういう感じ。
そして、タイトルが釣りなので、これまたアレな感じもします。

しかし。
しかし、ですよ。

次のように、『おもてなし』の概念を説明して頂けただけで 752 円の価値は十分にあると思います。

ユーザー・エクスペリエンスという言葉は、ソフトウェアやウェブ・サービスの設計においては非常に大切な概念なのであるが、適切な日本語訳がないために、なかなか理解されなかった。

そうそう、当時 Windows XP っていっても何で XP なのかさっぱりでした。

Naotake さんという方から次のようなコメントをいただいた。

User Experience は「おもてなし」だと思っています。

私はこれがいたく気に入ってしまった。直訳ではないので、必ずしもそのまま入れ替えて使うわけにはいかないが、元々の言葉の持つ意味合いを的確に表すという点では、もっとも適切な言葉だと思う。

以下、Naotake さんという方に敬意を払いつつ。
IT 関連の仕事をされている方は、ここでピンと来るのではないでしょうか。
むしろ、エライ人にも来て欲しい?

講演などでユーザー・インターフェースとユーザー・エクスペリエンスの違いを説明するときに、私が引き合いに出すのはディスニーランドとスタバ(スターバックス)。

UI : UE = DL : スタバで続きを読んでしまいそうな文章ですが、そうではなくて。
スタバの会社案内から拝借すると、UI が、

ゆったりしたソファや、ぬくもりを感じさせる照明、心地よいBGM、そして店内に漂うコーヒーの香りは、お客さまに五感のすべてでくつろぎを感じてもらうための演出です。

ということで、UE が、

気分をリフレッシュしたいとき、自分だけの時間を楽しみたいとき、気の置けない友人と語らいたいとき。過ごし方は人それぞれちがっても、私たちが約束したいことは一つ。それは「スターバックスで過ごすひとときが“ささやかな喜び”をもたらす経験になること」。

と考えられます。
UE = おもてなし、という説明に対しては少々複雑になりますが、

おいしいコーヒーと最高のおもてなし、そして「ここに来れば新しい何かに出会える」という期待感。私たちスターバックスは、常にそんな体験を提供できる第三の場所“サードプレイス”であり続けたいと願っています。

コーヒーとかラテという機能をソファ、照明、BGM という UI(ここでは日本語の『おもてなし』そのもの)で提供することにより、サードプレイスという総合的な UE を実現している、とすることができます。


かつて、ソニーはおもてなしを狭い意味でしかとらえていない事もありました。
スタバでいえば、コーヒーを注ぐカップをきれいにしただけでした。
・・・それだけなら良かったのですが、あの時はコーヒーを飲むソファを酷い作りにしてしまったり。

その後、これまでのソニーらしさを取りもどしつつあります。
しかし、これは美味いコーヒーを入れる、多彩なメニューを増やすというだけ。
PS3 や有機 EL にもその傾向は見られます。

ソニーは、美味しいコーヒーを用意しました。

アップルにやられたとすれば、その先をユーザーに伝えられなかったのが理由。
本書はそう言っている気がします。
そうこうしているうちに『アップルのコーヒーを飲むこと』それ自体が価値を帯びてきました。
iPhone 3G にもそんな印象を受けます。

画質が良い、音質が良いという UE に直結する UI は、今なおソニーの得意とするところ。
けれども、いい加減その先を具体的に示さなければならないのではないでしょうか。
ホームネットーワークとか幕末の頃(?)から言ってる企業ですよ、ソニーは。

果たして、我々を再びもてなすことができるのか?

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